カメレオンの流儀 – A l’école du caméléon [マリの詩人 アマドゥ・ハンパテ・バ]

フランス語圏アフリカの国であるマリの詩人、アマドゥ・ハンパテ・バ(1900-1991)のこの詩。カメルーン留学時代に教わったのですが、どこの地に行ってもカメレオンのように「色」を変えて溶け込む、ということで自分に重ねていて、ことある度に思い出します。とても好きなのですが、日本語どころか英語にも翻訳されていないようで、非常に勿体無いと思ったので、この度自分で日本語に訳してみました。

元の感じを伝えたいので、そのまま日本語で読むための詩訳というよりは直訳よりの訳です。

« Allez à l’école du caméléon, c’est un grand professeur. Et si vous l’observez, vous verrez qu’est-ce que le caméléon.

カメレオンのようにありなさい。カメレオンは偉大な先生だ。よく観察してみなさい、カメレオンの何たるかを。

D’abord quand il prend une direction, il ne détourne jamais sa tête. Donc ayez un objectif précis dans votre vie et que rien ne vous détourne de cet objectif.

カメレオンは、一度進むべき方向を決めたら頭を違う方向にむけることはない。人生に目的を持ち、いかなることにも惑わされないように。

Et qu’est-ce qu’il fait le caméléon ? Il ne tourne pas la tête, mais c’est l’œil qu’il tourne. Il regarde en haut et regarde en bas. Ça veut dire, informez vous et ne croyez pas que vous êtes le seul existant de la terre.

さて、その次はどうするか?カメレオンは、首を動かさなくとも目は動かしている。上を見て、下を見る。つまり、知ろうとすることだ。この世界にいるのが自分だけだと思うことなかれ。

Et le caméléon, quand il arrive dans un endroit, il prend la couleur de ce lieu ; ce n’est pas de hypocrisie. C’est d’abord la tolérance et puis le savoir-vivre. Se heurter les uns des autres n’arrange rien. Jamais on n’a rien construit dans la bagarre ; la bagarre détruit. Il faudrait toujours chercher à comprendre notre prochain. Si nous existons, il faut admettre que lui aussi il existe.

カメレオンはある場所に着いたら、その場所の色を身にまとう。ねこをかぶっているわけではない。受け入れる力であり、そして生きる術でもある。出会うたびに衝突していては何にもならない。喧嘩から何かが生まれたことは一度だってない、喧嘩は破壊するだけだ。常に隣人を理解しようとすること。我々が存在する限り、他者もまた存在するのだ。

Et qu’est-ce qu’il fait le caméléon ? Quand il lève le pied, il balance pour savoir que si les deux pieds posés ne s’enfoncent pas. C’est après qu’il va déposer les deux autres. Ça s’appelle la prudence dans la marche.

さて、カメレオンは次にどうするか。カメレオンが足を上げるときは、まずバランスをとって、地に着いている2本の足が沈んでしまわないかを確かめる。そうしてから、残りの2本の足で着地する。進むときには、用心深くあること。

Et sa queue est préhensible. Il l’accroche ; il ne se déplace pas comme ça, il l’accroche. Pour que si le devant s’enfonce, il reste suspendu. Ça s’appelle assurer ses arrières. Ne soyez pas imprudent.

そして尻尾で掴むこともできる。だから、そのまま進むことはない。尻尾を引っ掛けるのだ。もし前方が沈んでしまっても、落ちてしまわないように。背後の安全も確かめるということ。油断をしてはならない。

Lorsque le caméléon voit une proie, il ne se précipite pas là-dessus, mais il envoie sa langue. C’est sa langue qui va chercher la proie. Parce que ce n’est pas la petitesse de la proie qui dit qu’elle ne peut pas vous faire mourir. Alors donc il envoie sa langue. Si sa langue peut lui ramener, la proie, elle la ramène tranquilement. Sinon il a toujours la résource de reprendre sa langue et d’éviter le mal.

カメレオンは獲物を見つけたら、すぐに飛びかかるのではなく、舌を伸ばす。獲物を捕らえに行くのは舌なのだ。小さい獲物だからといって、死の危険がないわけではない。だからまず舌を伸ばすのだ。もし舌が獲物を掴めたら、そのときはゆっくりとこちらに手繰り寄せればいい。もし失敗したって、常に舌を巻き戻して悪い事態を避けることができる。

Donc, allez doucement dans tout ce que vous faites. Si vous voulez faire une œuvre durable, soyez patient, soyez bon, soyez vivable, soyez humain. »

そう、何ごともゆっくりと事をすすめなさい。長く残るものを創りたければ、我慢強くありなさい。よい人でありなさい。生き生きとしていなさい。そして、思いやりを持ちなさい。

いかがでしょうか。

私は次の文が本当に好きです。自分の人生哲学にピタと一致しています。

ねこをかぶっているわけではない。受け入れる力であり、そして生きる術でもある。

カメレオンというと目がぐるぐる動いたり、色が変わったり、舌が伸びたりと奇抜な印象ですが、それは当然全て生きるための知恵なんですよね。果たしてこれが口頭伝承に基づくものなのかハンパテ・バ自身の考えたことなのかはわかりませんが、そのことをこういう形で説話にするのはとても洒落ている気がします。

<訳注>

本人による朗読(暗唱?)が書き起こされたものと出版バージョンがあるようで、引用しているサイトによって文章もまちまちなのですが、上にリンクした音声を訳しました。

1)書き出しは、以下の2パターンが見つかります。参考にした録音ではAllezから始まっており、dの音が聞こえないため、2パターン目を使用しました。

  • Si j’ai un conseil à vous donner, c’est celui d’aller à l’école du caméléon.
  • Allez à l’école du caméléon.

2)最後に下記の1文が加わっているケースも複数見られました。違う際の暗唱、または出版されているバージョンかもしれません。

Voilà. Si vous vous trouvez dans la brousse, demandez aux initiés qu’ils vous racontent la leçon du caméléon.

「さあ、わかったでしょう。もし野山に迷ってしまったなら、先駆者たちにカメレオンの教えを請いなさい。」

3)その他にも中間部分がもう少しすっきりとしているバージョンもありました。きっとこれは書かれたバージョンでしょう。もしご興味があれば下のリンクからご覧になってみてください。

原文引用元(音声との比較参考用)

  • http://ftchekhov.canalblog.com/archives/2007/02/26/4173029.html

こちらが録音にもっとも近い書き起こしです(それでも若干単語が抜けていたりします)

以下のリンクはいろいろとバージョン違いです。

  • https://esukudu.wordpress.com/2013/08/16/allez-a-lecole-du-cameleon/
  • http://www.trilogies.org/blog-notes/hampate-ba-lecole-cameleon
  • http://pierre.coninx.free.fr/lectures/cameleon.htm
  • http://equerre.blogspot.com/2015/11/a-lecole-du-cameleon-amadou-hampate-ba.html

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